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中国人が熱狂する日本人ヲタククリエイター山下 智博さんが語る「無敵状態を創り出すということ」

1月13日に開催した第17回目の授業では、山下 智博さんを講師にお招きし講義をしていただきました。

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山下 智博さん
1985年生まれ。
2008年大阪芸術大学卒業。札幌市教育文化会館職員を経て、中国へ。
動画再生10億回!中国人が熱狂する日本人の1人。

海外でウケるためのセルフブランディング

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何か勝負に出る上で、僕は無敵状態を創ることが大事だと思っています。
どんなに敵がいたとしても、周りに「こいつには敵わない」と思われること。
または、そもそも周りに敵がいないことでそれが成立します。

その無敵状態を創り出す上で大切なのが、セルフブランディング
例えば外見ですね。
僕みたいに多少モテなくなっても、一度会ったら忘れられないインパクトを残すことが重要です。笑

2012年頃、北海道で公務員をやってたんですけど、その頃の僕の服装はめちゃめちゃ昭和チックでした。

大学生時代まで、「女子にモテたい」という浅はかな願望が滲み出ている服ばかり着ていた僕が、なぜそうしたか。

それは「人付き合いの効率」を上げたかったからです。

公務員時代、少し苦労してたことがあるんです。
それは、外見で舐められること。
僕は学生上がりで公務員になったので、周りが年上の方ばかりだったんですよ。
なので結構「この若造が」みたいな感じに思われちゃうことが多かったんです。

だから何か、説得力を上げるいいものはないかと考えるようになりました。

そんな時に昭和なビジュアルで職場に行ってみたんです。
すると周りが、

「なんだこいつは」
「こいつなんか持ってんな」
「もしかしたら俺より年上かもしれない」

と思ってくれるようになって、妙なプレッシャーを与えることができたんです。笑

こんな感じに、外見をコントロールすることはコミュニケーション能力を上げることにも繋がります。
女性で言うとバンギャとかゴスロリとかもそう。
ゴスロリ服とかを着てると、自分の趣味嗜好が相手に伝わりやすいので、勝手にそういうのが好きな人たちが集まって来てくれたりもします。

僕の場合も公務員のコスプレをして仕事をしてたので、結構覚えてもらえましたね。
名前が分からなくても、七三分けしててメガネかけてる昭和な出で立ちの人、って言われたら僕ですから。笑

これは人脈を広げる方法としても便利なので、ぜひ活用してみてください。

なぜ中国に行ったのか

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人は現状に満足していないから行動を起こせます。
お腹が減ったから物を食べるのもそう。
この不満という部分が大きいほど、尖ったものが作れるんです。
「ブラックミュージック」と呼ばれる黒人の音楽も、彼らが奴隷時代に辛い思いをしてきたからこそ、音楽という娯楽が必要でした。
なのでブラックミュージックには熱いソウルが宿っているんですね。

で、物作りをして行く上で日本という土地は恵まれていると思い、僕の場合はもっと不幸を経験しなければいけないと考え、中国に行くことにしました。
中国は一番の反日国家だったからです。

日本人ってどんだけ嫌われてるんだろう?
日本人という、自分では絶対に変えられないアイデンティティーのせいで、意味なくいじめられたり差別されたら耐えきれるのだろうか。
逆に違う発想を見せることで、その状況を打破できるのか、試したくなったんです。

ただ行った結果、上海みたいな大都市だとそれほど反発はありませんでした。
それどころか意外と日本人のことを知りたい人が多かったんですよ。

けどその当時学歴社会に苦しむ若者というのが話題になってまして。
彼らに対して、彼らを救えるような表現とか、運動とか次の道が拓けて行くような、スケープゴートみたいなことをアートを使って実現できないかを考えました。

けど2012年の8月当時、中国に行ってみたは良いんですけど、僕は中国語を全く喋れませんでした。
だから調査とかもできなければ友達もできないんですよ。
じゃあどうしようと考えたときに、言語の必要ないもので勝負しようと思い、コスプレを始めました。

日本の文化としては、コスプレとかアニメとかすごく流行っていましたからね。
それで若者の心を掴もうとして、コスプレであったり、当時の中国でネット動画が流行っていたので、動画作りとかを始めたんです。

これからの行動について

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日本のコンテンツはまだ中国でもウケてるし通用してるけど、近いうちに中国に追い抜かれてしまうと思っています。
じゃあ日本人が今後勝てるところはなんだろうと考えたときに出てきたのが、企画力やアイディアの部分でした。

前にホリエモンさんと対談した際に、彼は和牛や和食など、ソフトの部分や伝統芸能はまだまだ勝負できるとおっしゃっていました。
けどそれを中国に最適化して届けられる人ってあまりいないよねって話になったんです。

僕は今年それに挑戦しようと思っています。
今僕ができることや、立場を利用してできることって何かなぁと考えたときに、日本と中国のコンテンツの輸出入がより活発にできればなぁと思ったんです。
その中でも今僕がやろうと思っているのは、日本文化紹介のバラエティー番組作り。
それは日中文化交流のプラットフォームを作るということです。

僕は日中の架け橋ではなく、日中のローションになりたいと思ってるんです。笑
日中の間は摩擦が激しくて擦れると痛いけど、そこにローションが入ることによりヌルヌルになりますよね。
クールジャパンではなくフールジャパン。馬鹿げたことで、日中をつなげられればなと思います。

そのために日本法人、株式会社ぬるぬるというのを作ったので、そこで日中とかの関係を気持ちよくしていけるようにしていければと思っています。

山下さん、ありがとうございました!