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マネーフォワードCEO辻庸介さんが語る「情熱がイノベーションを巻き起こす」

11月4日に開催した第14回目の授業では、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介さんを講師にお招きし講義をしていただきました。

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辻庸介さん
京都大学農学部卒業後、ソニー株式会社に入社。 2004年マネックス証券出向(その後転籍)。 2009年ペンシルバニア大学ウォートン校に留学。 帰国後COO補佐、マーケティング部長を経て、マネーフォワード創業、代表取締役社長CEOに就任。

ベンチャーやる上ではヒト・カネ・モノが大事

会社を経営して行く上で大事な3つのことがあります。
それが、「ヒト・モノ・カネ」
その中でも、ヒトが1番大事です
例えば起業する時は、創業メンバーが重要になってくるわけですが、最初の立ち上げメンバーは特に重要です。
エンジニアにCTOをお願いするならば、その後の採用はそのCTOの技術力が基準になりますよね。

新規ビジネスをどう創るか

新規ビジネスを創っていく上で、アイデア自体に価値はありません。
自分がこれだと思いついたことは、確率論的に他の数十人〜数百人は思いついています。
世の中には良いアイデアを隠す人がいますが、それは意味がないことだと思います。
なぜなら、そのアイデアは特別ではないから。
イデアがあってもできるかどうかは全く別ものなんです。
イデアを出す難しさを1だとすると、それを実現してお客さんに提供するまでの難しさは1万や100万にも相当します。
だからアイデア自体にはあまり価値はないんです。
だったらアイデアをオープンにして、いろんな意見をもらった方が成長できるんですよね。

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とにかくモノ(プロトタイプ)を作ろう!

昔パワーポイントでありもしない事業計画を練っていたことがあります。
ただ、練っていくうちにそうではないなと、実際に何か作ってみようと思い、フェイスブックのお金版のような「マネーブック」というサービスを開発しましたが、それが大失敗したんです。
半年くらいかけて作ったんですけど、10人くらいの方にしか使っていただけませんでした。
けど、その失敗を経験したことで、経営に大事なことが分かったんです。

【経営に大事なこと】

1. 小さくテストする

例えば「◯◯◯なサービスを作りたい」と考えたとします。
そのとき、いろんな機能をつけたくなるんですよね。
人に見せる時に地味だと恥ずかしいと思ってしまうので。
ですが、それだとすごく時間かかるし、自分の仮説が合っているか合っていないかは分かりません。
だから、まずは機能の一部だけを作って反響を見てみるんです。そうして、仮説が合ってるかどうかを見る。
そうすると方向転換がしやすくなり、良いものができるようになります。

2. 妄想を持たず、ユーザーに聞く

「たぶんこうだろう」という自分の中の仮説は、ほぼ間違っていると思った方が良いと思います。
とにかくユーザーに聞くことが大事です。
考えるのは、どのユーザーの言葉を聞くかということだけなんです。

3. コアユーザーの行動だけを見る

過去に、とある有名なベンチャーキャピタルの方に、「マネーフォワードのサービスは1万人のユーザーも獲得できない」と言われたことがあります。
その時は自信がなかったですし、有名な方の言葉だったので「やっぱり需要ないのかなぁ」って凹んだんですね。
しかし、あるとき気付きました。
反対する人は、年齢層が若干高めの人が多かったんです。

全てのユーザーの声に答えるのは難しいものです。
じゃあどうすれば良いかというと、誰をハッピーにするかを考えて、その人たちが喜んでくれるのを創れば良いんです。

100人の人がいて98人がいらないと言っても、2人が満足してくれること。
それがサービス作りだと思いました。
新しいことをする前に、どれくらいのマーケットがあるのかと聞かれますが、まずはとにかくやって、ターゲットと自分たちが決めた人たちに聞けば良いと思うんです。
その人たちが言うことを信じること、その人たちが幸せになることを考えます。

4. 自分たちの予想とユーザーの実際の行動・結果について答え合わせを行う

とある機能を「絶対必要だろう」と思って作ってみて、全体のどれくらいのユーザーが使うかを予想しておきます。
次に、実際はどれくらいのユーザーが使ってくれたのかを見てみます。
そうすると、自分たちの仮説がいかに思い込みだったかとか、どの仮説が当たっていたのかなどが分かってきて、答え合わせをすることができます。

5. リソースは有限なので、最重要の一つのKPIだけを追う

マネーフォワードの場合、初期のKPIはダウンロード数だけを追っていました。
しかし、しばらくして重要なのは金融機関やクレジットカードなどの連携率だということに気付づいたんです。
これは、ユーザーが使い続けてくれる指標になるからですね。
ですので、今はそれ以外にもいろんな指標をみていますが、途中からはこの連携率もみるようになりました。

目標を決めて、その数字が目標に到達するまでは、リソースはその目標部分に集中させるようにしています。
そして、その目標を達成したら「今度はここに集中しよう」と、目標を切り替えます。
そういうのがすごく、ベンチャーは大事ですね。一点突破です。

これについてはリーンスタートアップという本がおすすめで、この本を読んでたらこんなに苦労しなかっただろうな、なんて思うので、是非読んでほしいです。

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起業する上での人集めについて

経営者に必要なのは、ビジョン・想い・パッションです。
みんなが無理ということをやるからベンチャーなんですよね。
私の場合は「この国のお金の課題を解決したい」と考えて会社を起こしました。

何か成し遂げたいことがあるなら、まずは自分一人でも、何かをやってみる。
その時は、他の人は遠巻きから見てるかもしれません。
しかし、そのうちそんな自分に賛同してくれる人が現れるんです。
そんな人が現れると、なんか面白いことやってるぞと噂が広まって、賛同者がどんどん増えていくかもしれません。
自分の熱意、パッションを最初の賛同者に伝えること。その想いが、他者を動かしてくれるんです。

辻さん、ありがとうございました!