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「絶対に無理と言われれば言われるほど、やる気になる」MOA大学特別講義vol.2 松本恭攝先生

7月23日(日)に行われたMOA大学特別講義Vol.2
ラクスルCEOの松本恭攝さんに「人の限界を決めるもの」についてお話いただきました。

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松本恭攝さん
1984年10月生まれの富山県出身。家族親戚はすべて公務員という環境で高校まで過ごす。慶応義塾大学1年の時に学生団体の立ち上げに参加したことをきっかけに「ゼロから一を生み出す」ことの楽しさを知る。卒業後は外資コンサルティングファームA.T.Kearneyに勤めたが、自分が市場を創造することへの願望が強くなったことと、印刷業界の革新による新たなビジネスの可能性に手ごたえをつかんだことから企業を決意する。2009年にラクスル株式会社を設立。

「絶対に無理だ」と言われるほど燃える

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ラクスル起業時、投資家にアイデアをぶつけたとき、ほぼ全ての投資家に「絶対に無理だ」と言われた。
何十回も。最初の1.2年は全てだめだった。
しかし、7年の時を経て79億円という投資を受けることができました。
今だと、「絶対に無理だ」という言葉を聞くとニヤッとする。
これはイケるかもしれない、そう確信を持てる。
この言葉を年に何回、人から引き出せるかを考えています。

ビジョンを掲げよう

僕の家族全員公務員でした。 そんな環境で育った自分が、なぜ起業家として踏み出せたのか。
それは大学1年生のとき、OVALというサークルに入ったことがきっかけでした。

OVALは日中韓の学生が集まってビジネスコンテストを開催することを目的としたサークル。
立ち上げのメンバーだったため、「実績・組織・お金」がないスタートでした。
あったのは「東アジアのリーダーを輩出する」というビジョンだけ。

何もネットワークがない中で、多くの人の協力をとりつけることが必要であることに気づく。
そこで権威のある人に助言を求めたが、ある東大教授には「ビジョンはとても良いが、それは話が大きすぎる」と言われ、あるマッキンゼーの人には、できない理由をロジカルに3つ教えてもらいました。(笑)

権威のある人には誰も協力してもらえなかった。
しかし、1年経って実際にコンテストを開催する際、何もなかったところから中国・韓国共に100人以上の仲間ができていた。
また企業から協賛金として1000万集めることもできました。

2年目、東京で開催するだけでは中韓の学生のモチベーションが上がらないことから中国で開催することになった。
このときは2005年の夏、日中関係が非常に悪い時期で、外務省から注意勧告を受けていた。

しかし、実際北京に行ってみるとメディアの伝えるものとは全く違っていた。
メディアの伝える情報は正しいと思っていたが、実際とは大きなギャップがありました。

そして半年後、北京でイベントを行うことができた。
大学1.2年での経験を通じて感じたことは、「人の限界って想像力なんだな」だった。
できない理由を探すのではなく、どういう人を巻き込み、どういうことをしていくのか、というイマジネーションを持つ。

そうすると何もないところから世界を創っていける
これらが起業するにあたって原体験となりフィードバックされた。
だが、想像力だけでは仲間は集まらない。人はストーリーによって動く。
1つのストーリー、「東アジアのリーダーを輩出する」というビジョンがあったから仲間を集めることができた。

ラクスルの時もそうだった。 「仕組みを変えれば世界はもっとよくなる」
このビジョンをつくったことが、CEOとして最もインパクトのある仕事だった。
印刷、物流など古い産業にインターネットを掛け合わせることで産業のあり方を変えていく。
このようなビジョンによって仲間が集まり、資本が集まり、想像していた世界を創っていける。

反対意見をエネルギーに実行し続ける

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ラクスルが行なっている事業の中にハコベルというものがある。
ハコベルとは、簡単にいうとウーバーのトラック版。
去年の12月、宅配クライシスがあった。
その2年半前に、これ以上eコマースが大きくなると物流は今のままでは追いつかなくなる。

細かい需給のマッチングが必要で、空いているトラック、さらには個人が運ぶというところまで見据えて新しい仕組みを創っていく、という想像が頭の中にあった。
当時これを投資家に話したところ、「絶対に無理だ」という意見が8~9割だった。

しかし、2年半経って状況が大きく変わり、ヤマト運輸との提携など、大きな事業機会に恵まれた。
これも、反対意見がある中で明確な想像力を持ち、それを実行したことに意義がある。

イノベーションとは、アイデアの組み合わせ

限界とは、積み上げてきた過去の経験ではなく、想像力である、と話してきた。
イノベーションとクリエーションというものがある。

僕はイノベーションが得意。
イノベーションとは、イデアとアイデアの融合、新たな切り口のことである。
イノベーションは想像力によって創ることができる。
想像力を伸ばすには、いろんな情報に触れること。

情報の触れ方は2つあって、
1.五感を使ってとにかく経験する
スマホの画面でみる情報は浅いが、現場へ行き五感を使うと情報の解像度が上がる。

2.全体像を捉える
切り取られた情報の一部分だけをみるのではなく、裏側までみようとする。

日本で挑戦しないのはもったいない

最近、日本悲観論が蔓延っているが、「日本って本当に良い国だな」と思う。
海外で起業するには競争力が激しい。
ハコベルのような会社は日本ではハコベル1つだが、インドだと150社、中国だと100社、アメリカでも数十社ある。
この中の競争に勝たないと世の中を変えることができない。

日本では、リスクナーバスなのかチャレンジャーが少ない。
逆に言えば、チャレンジすれば成功する確率が高い。

やったもん勝ちであるし、世の中を変えるチャンスがとてもある。
自分の中にあるアイデアがクリアならば、「ビジョンを創り、ストーリーを語って、仲間を集め、世の中を変えていく」というチャレンジをしよう。
そうすれば日本の世の中がもっともっとよくなるでしょう。

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松本恭攝先生、ありがとうございました

文章:水野清文(@kiyo__mizu)