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シェアリングエコノミーは社会をどう変えるか - 株式会社ココナラCEO 南 章行氏 -

3月6日に開催した第18回目の講義では、株式会社ココナラ代表取締役 南 章行さんをお招きし講義をしていただきました。

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南 章行さんのプロフィール
愛知県立旭丘高校
慶応義塾大学経済学部卒
英国オックスフォード大学経営大学院修了
住友銀行企業調査部にて大型融資先の調査や再生プラン作成に従事
アドバンテッジパートナーズにて5社の買収を担当(ポッカ、コメダウィルコム他)。
買収先の役員に就任し、経営改善に従事。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会理事
特定非営利活動法人二枚目の名刺理事

シェアリングエコノミーの関係者と形態

シェアリングエコノミーとは、遊休資産を個人間でシェアしていく動きのことです。
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「シェアリングエコノミー」と一口に言っても、その区分はいくつかあります。

一番狭い意味でシェアリングエコノミーと言えば個人間でのシェア
これがシェアリングエコノミーの本質です。
もう少し広げて捉えると、「n:n」という形であれば一応シェアという形になります。
そこに法人が入って来ても、n:nを繋ぐものはシェアリングエコノミーと言えます。

そしてさらに広く捉えた時に、「1:n」でも、提供している形がシェアらしいものならば、シェアリングエコノミーという括りに含まれていたりもします。

シェアリングエコノミーの代表例として、自転車が挙げられます。
最近、メルカリもメルチャリというサービスを始めましたが、中国では乗り捨ての自転車(シェアサイクル)が利用されています。

ただし、この「1:n」の形態の事業と「n:n」の形態の事業は、全くもってビジネスの性質が異なるため、総称してシェアリングエコノミーと呼んでしまうと、誤解を招いてしまう可能性があります。

そういう意味で、個人的にシェアリングエコノミーという言葉は今年をピークに聞かなくなっていくと思います。
これはシェアリングエコノミーがなくなるという意味ではなく、アメリカ同様に日本でもシェアリングエコノミーの分類が細分化されていき、呼称が変化していくだろうという背景からです。
アメリカでは今、オンデマンドエコノミーだったりギグエコノミーという呼び名もありますね。

シェアリングエコノミーがなぜ注目・サポートされるようになったか

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今までは企業が従業員を雇って、企業が対顧客に接するというような雇用関係になっていましたが、今後はシェアリングエコノミーを介することで、個人と個人が直接契約するようになっていくでしょう。
サービスのプラットフォーマーはその取引に入らず、仲介を行う存在になりますね。

会社と個人のパワーバランスがガラッと変わる

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これからは、昭和の時代の3ステージのモデルというのは完全に終わりを迎えます。
今働いている人の人生は70~80年くらいだという風に捉えている人が多いです。

「20歳くらいまで学校で学び、20~60歳くらいまで働いて、残りの20年は休む」
昔の働き方のモデルはこの三段階でした。
この三段階がなぜ成り立っていたかというと、中間の働く期間が40年くらいでよかったからです。
20代の頃一生懸命働いて仕事を覚える。
30歳になる頃にはそれなりに責任のあるポジションについて、結構活躍して成果を出しつつ、それなりに学びが進化していく。
その後、40・50歳になってくると徐々に会社を管理する方向になっていき、新たなスキルが身につくわけではないけれども、ヒューマンスキルやその会社特有のスキルを身につけながら、なんとか若い頃稼いだスキルで乗り切る。
つまり、「前半20年で稼いだスキルで後半20年食う」といった40年間でした。

この時代は、一つの企業に勤めることが前提であれば、成立してました。
けれども、これからは「100歳まで生きる」と言われており、80歳まで働くことになります。
それはつまり、真ん中の働く期間が60年になるということです。
そうなると、最初の20~30代で得たスキルだけで残りを生きていくのは困難です。

会社に勤めるという概念が、あと5年くらいでガラッと変わると思います。
労働力がとにかく足りてません。
売り手市場は今後も続いていきますが、優秀な人は独立していくでしょう。
独立した方が会社に所属するよりもお金を稼げますし、明らかにネットワークも広がってスキルも身につくためです。
そのため、優秀な人を囲い込むために企業は働く条件をどんどん緩和していくことでしょう。
退職されてしまっては困るため、優秀な人に「週三日働きたいです」と言われたとしても、会社側は「いいですよ」と認めざるをえません。
あと5年くらいで、優秀な人は自由にフリーエージェント化していく社会がやってきます。

フリーエージェントをうまく使いこなせるかどうか

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フリーランスだけでなく、副業でいろいろ動ける人や会社勤めしているが割と自由になんでも働ける人、あるいはスモールビジネスを自分でやっている人など、広い意味で個で働ける人のことを、フリーエージェントと個人的に呼んでいます。
箱としての役割である会社は、今後そういった人材をうまく使いこなせるところだけが生き残ります。
また、20代30代の間に得たスキルだけで80歳まで生きるのは難しいため、途中で学び直すか、将来の稼ぎのネタになるスキルやネットワークを培い直すなどのことを意識的にやっていける人が、フリーエージェントとして成功していきます。

シェアリングエコノミーには、助け合うことや物のシェアなどのインフラ的な役割に加えて、フリーエージェントの人々にも有用な効果があるため、普段の仕事では学べないことを学んでみたり、ネットワークを広げてみたりするためのツールとして見直してみると良いかもしれません。

新しい経済の仕組み、新しい事業のタネという見方が多いですが、なぜ最近こんなに注目されているのか、その背景にある社会の変化は何かを考えてみると深い課題があったりするので、そういう発想で社会を見てみると、みなさんのキャリアの見立てもガラッと変わってくるのではと思います。

南さん、ありがとうございました!
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