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アフロマンスさんが語る「これからの熱量の作り方」

10月22日に開催した第13回目の授業では、パーティークリエイターのアフロマンスさんを講師にお招きし講義をしていただきました。

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アフロマンスさん
アイディアで非日常体験をつくりだすパーティークリエイター/DJ。株式会社Afro&Co.代表。
ソーシャル時代のインサイトを捉えた体験の設計、メディアやSNSの情報の設計、新感覚の空間プロデュースなど、幅広く手がける。
これまでの実績として、2012年、都内初の泡パーティーを主催し、数日で3000名の応募が殺到。その後「泡パ®」の名称で全国に展開し、野外フェス「泡フェス」や、ファミリー向けの「泡パーク」など、様々なアーティスト、企業、地方自治体、コンテンツとコラボレーションしながら、日本に「泡ムーブメント」を巻き起こした。
また、1万枚のチケットが即ソールドアウトした街中を巨大ウォータースライダーに変える「Slide the City」、28万名の応募が集まったスカイランタンを飛ばす絶景フェス「The Lantern Fest」の他、平日の朝6時半から通勤通学前に踊る「早朝フェス」、ハウスミュージックに合わせてマグロをさばく「マグロハウス」、有明海の干潟の泥に浸かれるバー「GATA-BAR from SAGA」、原宿に出現したギャザリング専用スペース「Star Gathering House」など、手がけるプロジェクトは多岐に渡る。
エンターテイメントの可能性を信じ、世の中に新しいワクワクを提供するべく活動している。

◆『アフロマンス』は趣味から始めた

アフロマンスさん:

2012年の7月13日に都内初の泡パーティーを原宿でやりました。 実は同じ年の4月、花見をしながらイビサの泡パーティーの話をしてたら結構盛り上がって。まだ日本でやってないんだったら、絶対やった方がいいじゃんって。その勢いで7月には実際にやっちゃったんです。

僕は大学生の頃からアフロマンスとしてDJやイベントをやってて、新卒で就職してからも「趣味で」続けていたんです。だから、この泡パーティーや他のイベントも、財源は個人の貯金で、赤字が出たら最悪の場合、個人で借金を背負うみたいな。

そんな状況なので、ドキドキしながらFacebookに泡パーティーやります!って投稿したら、250名の定員に対して、2日間で3000名を超える応募がきて。

Facebook上でシェアされて「バズった」わけです。広告なしで。

この時に僕の個人アカウントの投稿に、2万いいね付きました。 その後も予想以上に問い合わせが多く、急遽、逗子の海の家を貸し切って、告知期間三日くらいで泡パーティーやって、それも行列になってました。

この一件は、僕の人生にとってターニングポイントでした。 今は、独立して、アフロマンスの活動が本業になってますから。

◆これからの熱量の作り方〜3つの視点〜

1.コアアイディア

・コアアイディアは自走する

世の中のよくある企画というのは、何か広げたい元ネタがあって、それを宣伝するために、それをなんと言おう、それを話題にするためにどういう体験を作ろう、みたいな視点から入ることが多いんですよね。

でも本来は、全てを考えた上で、それにふさわしい元ネタ(アイディア)を考えるべきなんですよ。

最近ツイッター見ながら「たしかになー」と思ったことがあって。 Facebook創始者マーク・ザッカーバーグさんの言葉で、 「広告費は、あなたがつまらないサービスをつくってしまったことに対する罰金だ」と。 要は、コアになるアイディアが良ければ概ね上手くいくってことなんです。

腐った食材をプロのシェフに料理させたら美味くなるかって、そりゃ難しいことの方が多いですよね。僕がやってる「泡パ」や「Slide the City」が強いのは、いろいろ考慮した上でも、コアになりえるアイディアだから、だと思っています。

こんなこと言ったら僕が広告打てなくなっちゃうんだけど。。笑 そのときは罰金だなと思いながら打ってます笑

・やりたいことと社会の上手い接点を見つける

例えばですが、今年卓球場で、SONYのスピーカーを使った面白いイベントを考えて欲しいと言われて、「低音卓球」っていうイベントをSONYさんと一緒にやったんですよ。

話として、僕のところに来たときには「卓球場で、ソニーの新しいスピーカーを使って面白いことを考えて欲しい」と。なんで卓球場?とは思いつつ、どうしたら面白い、話題になる体験がつくれるかなぁと。

僕は結構「WAO感」っていうのを大事にしてるんです。 0.5秒で「ワオ!面白そう!」って思える理屈じゃない感覚みたいな。

そして結果、卓球台自体の形を変えて、筒状の卓球台を考えてみたんです。

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なんか面白そうってところまできたけど、もう一つの視点で、やりたいことと社会の上手い接点を見つけるってすごい大事なんですよ。

僕の場合は、とにかく面白い卓球台を作りたい!と思いました。 それだけだと、ソニーさん的には面白いね、で終わっちゃうんだけど、筒状の卓球台を二つならべて、造作をすると・・・新商品のスピーカーの巨大版になります!というところまで設計する。

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てなると、「あ、なるほどー!」と。笑

「やりたいことをやる」ことと、「やりたいこと”だけ”やる」ことは違う。 実現して、形にして、社会との接点をどう設計するのか、ということが大事です。

・コアアイディアの出し方

じゃあ、どうやってこういうコアアイディアを出していけばいいのか。

それは、

・とにかく大きくする or とにかく小さくする 例:スピーカーを部屋くらいの大きさにしちゃうとか、トイレくらいの部屋にミラーボールとか設置しての世界最小のクラブを作っちゃうとか。

・異質なものを組み合わせる 例:3Dプリンターと伝統工芸を組み合わせてみる。専門家が考える専門領域のアイディアって、どうしても発想が狭くなりがちなんだけど、異業種を組み合わせることで広がりのメリットがあったりする。

・時間や場所を特定する 例:早朝フェスとか。平日の朝6時半に集まって、みんなで踊ってから出社するって感じ。

・とにかく絞る 例:真っ暗な中で踊る。視界を遮ることで、普段は聞こえないものが聞き取れたりする。クラブなのに隣の人の息遣いが聞こえてきたりするとか。スピーカーの方向までわかる。

ただ、ここまで言ったけど、結局は慣れです。

みんな結構アイディアマンって、いっぱいアイディアを出せる人だと思ってるんだけど、違うんです。

実際は、 ・予算 ・目的 ・メディア ・ユーザー ・実施の可能性

そういう懸念点を全部ドーン! と突き抜けるような案が出せる人がアイディアマンなんです。

学生とかで、100個アイディア集めても一案も採用できなかったりする。 プロでやってる人は、数案で全ての条件を突き抜けるグッドアイディアが出せる。 じゃあこれってなんなのかって言うと、慣れです。

フルマラソンを走れる人もそうだけど、あの人たちはフルマラソンの距離を走ることに慣れている。 アイディアも一緒で、突き抜けたアイディアを出すためのアイディア筋がある。 そのアイディア筋を鍛えることが大事。

アイディア筋を鍛える上で大事なのは「もったいぶらず、人に考えを話すこと」「小さいことからでもやること」。 人に話して反応がすごい良かったら、たぶん世の中に出してもウケる。 イベントも大きいものは当然コストやリスクが大きく、それを知るとやらない人が多い。 そうじゃなくて、コツコツと小さいことからやってくと経験が溜まって知識も増えてくるから、だんだん大きいのができるようになる。

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2.人を巻き込む

・ムーブメントって1人では作れない

「人を巻き込め 迷惑で巻き込むな」 誰の名言かと言うと、僕の親父の名言です。笑

人にお願いするとか、人に指示を出すのが苦手な人が多い。 人に頼みごとをするのが悪い、みたいに思っちゃう。 ついつい自分でやっちゃう、みたいな。 けど大前提として、ムーブメントって1人では作れないんです。

・人を巻き込むお金じゃない価値

伝統工芸を若い人にやって欲しいから助成金を出します、みたいな話よくあると思うんですが、根本的には違うと思うんです。

だってお金のために伝統工芸やるわけじゃないでしょ? なんでやるかって、カッコイイから、すばらしい!って思えるからやるわけでしょ。

100万円あげるからクラブ運営してよって言われても、やるかもしれないけど、なんかワクワクしないんですよね。 対して、世界に一つしかないクラブを作ろうとか、世界で最初の何かを作ろうってなったらワクワクする。

何が言いたいかって言うと、「人に頼む」という行為自体は迷惑じゃないってこと。 迷惑に思われたりするのは、ワクワクとかカッコイイとか、見えない価値を提供できてないから。ワクワクに巻き込まれるのは、相手にとってハッピーなんです。

・社会的エゴイスティック

僕が考えた言葉に「社会的エゴイスティック」って言葉があります。

これは、人を巻き込むキーワードです。

なんで僕がこれを思いついたか。 すごい歌上手いのに売れないミュージシャンとか、すごいスキル持ってるのにいまいち活躍してない人とかいるでしょ。 なんでだろうって考えてたんですけど、これは社会的なのか(周りに良い影響を与えているのか)っていう部分と、これやりたいっていうエゴな部分を併せ持ってるかってことだと思うんですよね。

例えばパリピな学生がやっている「夢人」っていうイベントがあるんですけど。 クラブとかでガンガン踊ったりするんだけど、そこで出た利益は全部ラオスの学校建設に寄付してるんですよね。 こういう二面性が、人を巻き込む。 みんなが参加したいって思えるし、参加してる人も気持ちよくお金を払える。

逆に寄付活動とかがどうやったら「泡パ」みたいに広まるんだろうって相談を受けたりもするんだけど、ここには自分の、言い方を変えれば『自分勝手な願望』と呼べるものがないんだよね。 可哀相だから寄付します、みたいなのだと盛り上がらない。

これを解決するアイディアとして、僕だったら寄付される側の人と一緒にお祭りとかを開催して、そこで出た売り上げを全部寄付したりするかな。 そしたらお祭りに来た人も、お祭りを企画した人も楽しめる。

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こういう相反しそうな社会性とエゴイスティック。 どっちかが抜けてもダメなんですよ。 良いことしようってだけでも皆ついてこないし、「俺が俺が!」みたいな自分よがりなものでもファンが増えないし。

3.確信力

トップランナーとそうでない人の違いとは?

広告業界のクリエイターとかと一緒に仕事してる時、すごい人いるなとか思うんだけど、そのすごい人と隣に座ってる人はなにがそんなに違うんだろうって考えたんです。

打合せしてると、そこに「場を制する人」っているんですよ。 その人がポッと意見言うと、みんなが「そうかも」って思っちゃう人。

どんなに良いクリエイティブとかアイディアでも、やってみなきゃ良いか悪いかなんてわからない。 けどそれを信じさせてくれる人が大事なわけです。 だから結局、最終的には人を信じるか信じないか。 信じてもらえるかどうかなんですよね。

ライブとかもそう。 アーティストって何がすごいかって、確信力がすごい。もうね、自分がブレない。 だからみんな安心して身を委ねられる。 アーティストが手を挙げた時にみんなが気持ちよく手を挙げられるのは、その人を信じてるからだし、その人が信じさせることができてるから。 それが一体感を生む。

・確信力の磨き方

じゃあどうやって確信力を磨くかって言うと、これは経験によって磨かれる。

実際に行動して。 実際に形にする。

それが自分に返ってくると言うことなので、何か僕の話から得られたようであれば、小さいことでも良いから何か始めると良いと思います。

アフロマンスさん、ありがとうございました!